松山学院高等学校

マツガクニュース

1学期始業式(校長講話)

今日は、校長先生の生き方が一変した日のことをお話しします。

私は、東京にある大学に通っていました。

夏休みになり、松山に帰省していたのですが、小遣いも底をついたので、適当なことを言って母からお金をもらって、早く東京に帰ろうと考えていました。

母はパン工場こうばでパートをしていたので、私はノコノコと工場こうばまで行き、母に面会を求めました。

従業員の方に呼ばれ、工場こうばの奥から出て来た母は、まるで水浴びをしたかのように全身びしょ濡れで、私の前に現れました。

私は、ただただ茫然と母を見ていました。

母は優しく微笑みながら「どうしたの?」と声を掛けてくれました。

私には返す言葉が見つかりませんでした。

やっとの思いで「もう東京に帰るよ!」とだけ伝えました。

この日の異常な暑さは、今でも覚えています。

パン工場こうばに向かう道も、日陰を探して歩くほど暑く、アスファルトの照り返しも尋常ではありませんでした。

そんな暑さの中、母はパンを焼く窯の前に立って、一日中仕事をしてくれていたのです。

誰のためでもない、私のために。

こんないい加減な私のために、身を削って働いてくれていた母。そんなことも知らずに、私は何ひとつ頑張ることのない“らくー”で、“ゆるーい”大学生活を送っていました。

母のいつもと変わらぬ優しい笑顔を見つめながら、私の中で何かが弾けました。

みなさんにも命を懸けて守ってくれている人がいます。

自分のためではなく、大切な人のために頑張ってみてください。

その人の笑顔のために皆さんが変わる。

そうすれば、きっと、あなたの大切な人も、あなたも幸せになれます。

健闘を祈ります!

 

これで、校長先生の始業式のお話を終わります。

 

令和6年4月8日(月)

松山学院高等学校

吉田 慎吾

 

 

 

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