松学ニュース
1学期始業式(校長講話)
- 2024.04.08
- 学校行事
今日は、校長先生の生き方が一変した日のことをお話しします。
私は、東京にある大学に通っていました。
夏休みになり、松山に帰省していたのですが、小遣いも底をついたので、適当なことを言って母からお金をもらって、早く東京に帰ろうと考えていました。
母はパン工場でパートをしていたので、私はノコノコと工場まで行き、母に面会を求めました。
従業員の方に呼ばれ、工場の奥から出て来た母は、まるで水浴びをしたかのように全身びしょ濡れで、私の前に現れました。
私は、ただただ茫然と母を見ていました。
母は優しく微笑みながら「どうしたの?」と声を掛けてくれました。
私には返す言葉が見つかりませんでした。
やっとの思いで「もう東京に帰るよ!」とだけ伝えました。
この日の異常な暑さは、今でも覚えています。
パン工場に向かう道も、日陰を探して歩くほど暑く、アスファルトの照り返しも尋常ではありませんでした。
そんな暑さの中、母はパンを焼く窯の前に立って、一日中仕事をしてくれていたのです。
誰のためでもない、私のために。
こんないい加減な私のために、身を削って働いてくれていた母。そんなことも知らずに、私は何ひとつ頑張ることのない“らくー”で、“ゆるーい”大学生活を送っていました。
母のいつもと変わらぬ優しい笑顔を見つめながら、私の中で何かが弾けました。
みなさんにも命を懸けて守ってくれている人がいます。
自分のためではなく、大切な人のために頑張ってみてください。
その人の笑顔のために皆さんが変わる。
そうすれば、きっと、あなたの大切な人も、あなたも幸せになれます。
健闘を祈ります!
これで、校長先生の始業式のお話を終わります。
令和6年4月8日(月)
松山学院高等学校
吉田 慎吾